展覧会レポート「ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち」
3年の増田です。
4月に始動した豊山ゼミ初の課外活動として、7月11日にあべのハルカス美術館を訪問し、7月4日から9月9日まで開催中の展覧会「ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち」を鑑賞しました。
展覧会鑑賞に先立ち、あべのハルカス美術館学芸員で本展を担当された新谷式子先生にミニレクチャーをしていただき、美術館は社会貢献のための教育施設であり、同館はコレクションを持たないことで「あらゆる人に、あらゆるアートを」のテーマで鑑賞機会を提供する柔軟な企画を実現している、とうかがいました。また、美術館の公益性や展覧会企画の具体的な運営費とその経済効果など、こうした機会でなければ聞くことができない貴重な話も聞かせていただき、文化を社会、つまり私たち一人ひとりで支える重要性を学びました。

新谷先生のお話を踏まえて鑑賞すると、本展が単に名画を展示するだけではなく、印象派からポスト印象派への流れを理解できるよう構成されていることがより明確に理解できました。
何より印象深かったのは、やはり展覧会タイトルにもあるゴッホの『跳ね橋』でした。パンフレットなどの広報写真では青みが強く見えますが、実物は緑に近い色であり、複製技術が発達した現代だからこそ「本物を肉眼で観る重要性」を実感できました。また多くの来場者が本作の前で足を止めており、日本におけるゴッホ人気の高さを改めて実感しました。

また、モネの『エトルタの浜辺の漁船』『ヴェトゥイユ上流、春の効果』『アニエールのセーヌ河』『霧の中の崖の家』の4点を比べると、画家が単に淡い色彩を用いるだけでなく、光を表現する中で画風を多様に変化させていった系譜を読み取ることができました。また水面の反射や空気感の描き分けからも、モネが「リアルな光」を追求し続けるなかで表現方法を模索する様子をたどることができました。
展覧会会場のラストに展示されているのは、モーリス・ユトリロの『サーカス、或いはヴォージラールの祭り』です。今回の展覧会では、柔らかな光を表現することをテーマとした印象派作品が多く、輪郭が明確に描かれない傾向があったのに対して、この作品は鮮やかな色彩と力強い輪郭線が特徴的で、他の作品とは違う魅力を放っていました。印象派の受容を経て、いかに後続の画家たちが独自の表現へと変化したかを示す演出で、展示構成から歴史の流れを読み解くことができる意義を考えさせられました。
今回の見学会を通して、美術館は作品を展示するだけの施設ではなく、展示構成や解説を通して作品同士の関係性や美術史の流れを伝える、教育機関としての役割を担っていることを学べたのが大きな収穫でした。
また、実物を鑑賞することで初めて感じられる色彩や質感の違いから、美術作品は実際に足を運んで鑑賞することに大きな意義があることも実感しました。今後のゼミ見学会、さらに個人的な美術館訪問の機会でも、作品だけでなく、展覧会の構成や企画意図にも注目しながら鑑賞の楽しさを味わっていきたいです。